2011~2023年
平成23年~令和5年
「CO2フリー水素社会」を目指して
CO2フリー水素チェーン構想とは、水素を重要なエネルギーの選択肢と位置付け、オーストラリアの褐炭をガス化・精製して製造した水素を液化し、液化水素運搬船で日本に海上輸送するものです。
それを実現するためには、サプライチェーンの上流から下流に至る、水素を「つくる」「はこぶ」「ためる」「つかう」ためのコア技術と製品をシームレスに利用できる状況を整備する必要がありました。2011年には、播磨工場に実証プラントを建設して技術実証をスタート、2014年には純国産の水素液化システムの開発に成功しました。
播磨工場内に建設された水素液化プラントの実証設備
エネルギーの安定供給に関する取り組み
東日本大震災で課題となった「エネルギーの安定供給」のため、当社では環境を損なうことなく電力安定供給に貢献するため、クラス世界最高の発電効率と環境性能を誇る「グリーンガスエンジン」の生産能力を増強しました。また、電力供給不足への対応要請に応えるために、明石工場のガスタービン自家発電設備(当社製)の発電出力と発電量を増強し電力会社に供給しました。
クラス世界最高の発電効率49.0%(当時)のグリーンガスエンジン
高いエネルギー効率や環境性能を持つ製品を納入
国内初となる発電容量11万kWのガスエンジン発電所を納入。
2012年8月に日本テクノ(株)の「日本テクノ袖ケ浦グリーンパワー」(千葉県袖ケ浦市)プロジェクト向けに、発電出力7,800kW、クラス世界最高の発電効率49.5%(当時)とNOx排出量200ppm (O₂=0%換算)以下の高い環境性能を誇る「カワサキグリーンガスエンジン」14基で構成される11万kW発電所を納入しました。
国内初となる発電容量11万kWのガスエンジン発電所を納入
神戸工場再編計画
1902年、神戸工場に最大入渠能力6,000総トンの第1ドックが完成して以来、神戸工場には2014年までに計4基のドックが造られました。
なかでも第1ドックは、当社および日本の造船業の黎明期を代表する歴史的遺産として注目を集め、1998年に国の登録有形文化財に、2007年には近代文化産業遺産に認定されました。
阪神・淡路大震災後の老朽化から、建造から111年を経過した2014年に閉鎖し、一部をモニュメントとして残し、地中に埋め戻され、文化財としての登録を抹消しました。
また、第1ドック埋め立てを機に、神戸工場の造船設備を再編成する計画が立てられました。
ドック、岸壁、修繕工場、ドックハウス、工場など関連設備を増強するなど、潜水艦により特化した工場となりました。
神戸工場第1ドックの記念モニュメント
神戸第1ドック建造プロジェクト
2つのアームを持つ双腕型ロボット「duAro(デュアロ)」を発売
政府により、日本の労働人口減少の解決策として「ロボットの利活用」が挙げられました。
当社は、「Easy to Use」をコンセプトに「人との共存、安全柵不要、可搬式、簡単な設置・教育、双腕」を開発方針とした、2つのアームを持つ水平多関節ロボット「duAro」を発売しました。
「duAro」は、使い勝手が良い、ロボットの適用範囲が広がる、導入のハードルが低くなった、小規模の工場や店舗・オフィスでも使えると評判になりました。
duAro(デュアロ)
川崎重工業創立120周年を迎える
2016年10月15日に創立120周年を迎えました。
記念式典では、第2次世界大戦中に川崎航空機工業(当時)が開発・製造した陸軍の戦闘機「飛燕」を修復・復元した実機などの展示を行い、神戸市立博物館では当社初代社長の松方幸次郎が収集した浮世絵や西洋美術の一大コレクションを一堂に集めた「松方コレクション展 -松方幸次郎 夢の軌跡-」を開催しました。
川崎重工創立120周年記念展 復元された戦闘機「飛燕」
遠隔協調で熟練技術者の動きを再現する新ロボットシステム「Successor (サクセサー)」を発表
製造現場では人の感覚や熟練技術者の技能を必要とする作業が多く、ロボット導入が進んでいませんでしたが、その課題を解決するために遠隔協調技術やAIの活用で、ロボットが作業者の動作を覚えてプログラムに自動変換する画期的なシステムを開発しました。
Successor(サクセサー)
神戸ポートアイランドにて、世界初、市街地での水素コージェネレーションシステム実証試験開始
水素ガスタービンによるコージェネレーションシステムを活用した実証試験を開始しました。水素と天然ガスを燃料とする1MW級ガスタービンを核としたコージェネレーションシステムを、旧港島クリーンセンター跡地に建設しました。
水素による電気と熱の供給を実際の市街地で行うという世界初の取り組みです。
水素CGS活用 スマートコミュニティ技術開発事業
神戸市ポートアイランド
世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の進水式を実施
本船は、マイナス253℃に冷却し体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発されました。本船は、オーストラリアで製造された液化水素を日本へ輸送します。
液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」進水式
グループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを ~Trustworthy Solutions for the Future~」を制定
当社グループは、社会課題解決へのソリューションを提供するため、今後注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、社会の変化に合わせて、より成長できる事業体制への変革を目指しています。
グループビジョン2030
川崎車両(株)カワサキモータース(株)が分社独立
マーケット特性に対応した自律的経営を推進するために、車両事業が川崎車両(株)として、モーターサイクル&エンジン事業がカワサキモータース(株)として分社独立しました。
無人ヘリコプターの実証機「K-RACER-X2」 国内最大となる200kgの貨物搭載能力を実証
無人ヘリコプターの実証機「K-RACER-X2」の試験において、200kgの貨物搭載能力を確認しました。日本で開発された無人機では最大の貨物搭載能力となり、一般的なドローンでは運ぶことができない重量物の輸送が可能なため、国内山間地や自然災害発生時においても安全な物流サービスを提供することができます。
無人ヘリコプターの実証機「K-RACER-X2」
国内最大となる200kgの貨物搭載能力を実証